Top > コラム> 「流行り」だけじゃ売れない時代。売れるブランドが秘密にしたがるERP戦略 公開日:2025年6月5日 文:マーケティング担当者 「流行り」だけじゃ売れない時代。売れるブランドが秘密にしたがるERP戦略 人手不足や原価高騰、不安定な需給バランス──。飲食業界はいま、大きな変革の渦中にあります。こうした課題に立ち向かうため、テクノロジーを活用した業務の効率化が求められています。特に注目されているのが、ERPシステムとAIを活用した「注文~仕入れ」プロセスの最適化です。本記事では、ERP×AIがもたらす飲食業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)について、具体的な事例とデータを交えて解説します。 <目次>1. ファッション業界の課題とERP導入の必要性2. ファッション業界に特化したERP活用の実例3. 補完的な役割としてのAI:販売予測とトレンド分析4. まとめ:ERPはファッションDXの“骨格” 1.ファッション業界の課題とERP導入の必要性 1. 情報の分断販売、在庫、物流、仕入れ、会計、人事といった業務が部門ごとに分かれ、それぞれが異なるツールやスプレッドシートで管理されている場合、全社的な意思決定が遅れます。➡ ERP導入により、これらの情報がリアルタイムで一元管理され、経営判断のスピードと精度が向上します。2. 在庫過多と欠品の同時発生一部店舗では売れ残っているのに、他店舗では人気商品が欠品──というような在庫の偏在が多発。➡ ERPの在庫管理モジュールによって、全店舗・全倉庫の在庫状況を可視化。タイムリーな在庫移動や補充指示が可能になります。3. 生産・調達のリードタイムの長期化海外生産や多層的な調達プロセスにより、需要に追従できない「供給の鈍化」が発生。➡ ERPにより、調達計画と販売実績の連携が自動化され、納期遅延のリスクを事前に察知・回避できるようになります。 2. ファッション業界に特化したERP活用の実例 事例①:U社独自カスタマイズされたERPを導入し、以下の成果を実現:店舗・EC・倉庫をまたいだ在庫の横断的な把握リアルタイムでの売上・在庫モニタリングシーズン中の中間投入判断の迅速化ERP導入前と比較して、在庫回転率が15%以上向上し、シーズン終盤の余剰在庫量も20%以上削減されました。事例②:B社基幹システムとしてERPを中心に据えた業務改革を推進。MD(マーチャンダイジング)会議のデータ集計時間を1/3に短縮し、スタッフの分析・提案業務にリソースを集中できるようになりました。 3. 補完的な役割としてのAI:販売予測とトレンド分析 ERPが全体の基盤を支える一方で、**AIはそのデータを活用する“賢いアシスタント”**として機能します。販売履歴+気象+SNSデータを学習 → AIが“売れ筋予測”を提示ERPがそれを基にした自動発注や配分指示を実行トレンド変化に柔軟に対応できる運用体制を構築ZARAではこの仕組みをグローバルに展開し、「データ即製品化」のスピードを最大化しています。 4. まとめ:ERPはファッションDXの“骨格” ERPの導入は、単なるシステム刷新ではありません。それは、「勘と経験」に依存してきた業務を、データドリブンで持続可能な形へ進化させるプロジェクトです。AIはそのERPの力をさらに拡張する“ブースター”ですが、土台となるのはやはり、ERPによる業務の標準化・可視化・一元管理です。これからのファッション業界における競争力は、「柔軟なトレンド対応」と「強靭な業務基盤」の両立にかかっています。その中核にERPを据えることは、避けて通れない戦略的判断となるでしょう。 < コラム一覧に戻る