通販物流とは?特徴とアウトソーシングのメリット・デメリット

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通販物流とは?
特徴とアウトソーシングのメリット・デメリット

「通販を始めたいが、よくわからない」「失敗したくない」と思う人は多いのではないでしょうか。近年、さまざまな業界でシステム化が加速しており、物流業界も例外ではありません。本記事では、通販物流の特徴やアウトソーシング(代行)する場合のメリットとデメリットなどを詳しく解説します。

通販物流とは 

通販物流とは、ECサイトやカタログ通販などの通販事業における物流全般を指します。商品の開発や販売などがメインの業務となる通販事業にとって、通販物流をいかに効率化するかが重要となります。通販物流の主な作業内容は以下のとおりです。

• 入荷
• 検品
• ピッキング
• 流通加工
• 出荷
• 配送
• 返品処理

通販物流には、一般消費者に向けて商品を配送するBtoC通販と企業間取引のBtoB通販があります。そのなかでも一般消費者に向けたBtoC通販が主流となっており、注文を受けた商品を効率的に配送することが課題となっています。

通販物流では、注文された商品を倉庫から出荷し、最短の配送ルートで消費者に届けることが重要です。配送の遅延や誤配送は、消費者にとって不便なだけでなく、企業にも悪いイメージとなってしまいます。そのため、通販事業者には効率的かつ正確な物流システムを確立することが求められます。

3PLとフルフィルメントの違い 

通販物流をアウトソーシングする方法として「3PL」と「フルフィルメント」という言葉を耳にする人は多いのではないでしょうか。3PLとは「3rd Party Logistics」の略で、荷主の物流業務を第三者に委託し、効率化を図ることをいいます。

一方、フルフィルメントは物流に関わる業務に加えて、注文を受けるコール業務や決済業務も含めて外注が可能です。3PLとフルフィルメントはよく似ているように思えますが、委託する範囲が異なります。そのため、フルフィルメントは、3PLより広い範囲を第三者企業に委託することで、効率化を図れるといえるでしょう。

通販物流の特徴4つ 

通販物流の特徴は以下の4つです。

• BtoC向けの配送が多い
• ギフト業務
• 顧客への個別対応
• 多種多様な在庫管理

それぞれ解説します。

①BtoC向けの配送が多い 

ECサイトで販売される商品は主に一般消費者向けで、一度に出荷する数は数点程度。しかし、大手企業のECサイトの注文では1人の宅配ドライバーに対して1日200件以上の配送量があるため、注文数自体は多いといえます。一方、BtoB物流は企業間取引のため、1件あたりの注文数は多いですが、出荷件数は多くありません。BtoB物流は一度に多くの商品を届けられるため、BtoC物流よりも配送効率が高いといえるでしょう。

②ギフト業務 

通販を利用してギフトを贈る需要は高くなっており 、通販物流ではさまざまなギフト注文に対応しています。また一部のギフト注文は主に以下のような特定の時期に集中します。

• お歳暮
• クリスマス
• 母の日
• 暑中見舞い

このようなイベントは多くの人が通販を利用するため、数日の間に大量の注文が入ります。
ほかにもギフト注文では、通常のピッキング作業に加えてメッセージカードやリボン掛けなどに対応します。繁忙期に多くの注文が集中しても、ミスをせず迅速に出荷できる体制が求められます

③顧客への個別対応 

通販物流ではピッキングする際に顧客一人ひとりに合わせた丁寧な個別対応が求められます。具体的には以下のような個別対応です。

• チラシやメッセージカードの同梱
• おまけや試供品
• 顧客に合わせた包装

このような顧客への個別対応は、在庫管理システムやピッキングシステムを導入することで、ピッキングが正確かつスムーズに実行できるようになります。システムを導入すると、顧客の要求に迅速かつ正確に対応できるだけでなく、配送効率の向上やコスト削減にもつながるでしょう。

④多種多様な在庫管理 

主に一般消費者向けとなる商品を扱う通販物流は、商品ごとの在庫はそれほど多くありませんが、種類は豊富です。
例えば同じ商品でも色違いやサイズ違いなどがあり、商品の種類が増加します。
このように多種多様な在庫管理をしなくてはならないため、業務をスムーズに進めるには商品を整理して保管する必要があります。

通販物流をアウトソーシングする3つのメリット 

通販事業ならではの特徴がある通販物流ですが、通販物流をアウトソーシングした場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。
通販物流がアウトソーシングするメリットは以下の3つです。

• 本来の業務に集中できる
• 社内人件費などを削減できる
• 繁忙期に柔軟な対応ができる

詳しくみていきましょう。

①本来の業務に集中できる 

通販物流をアウトソーシングすることで、単純作業に時間を割かずに商品の企画や販売に集中できます。一方で、通販物流をアウトソーシングしない場合は、入荷から出荷まで幅広い業務をすべて自社でおこなう必要があります。

業務負担を軽減できるため、従業員は商品の開発やサービス品質の向上など、本来の業務に注力できるでしょう。

顧客にとっても、よりよいサービスを提供できます。

②社内人件費などを削減できる

通販物流をアウトソーシングすると、人件費などのコスト削減が可能です。固定で作業員を雇用している場合、物量に関わらず人件費が固定でかかります。

一方、アウトソーシングした場合では物量に応じて費用がかかるため、毎月の費用を変動費化し、削減が可能です。出荷件数が少ない月には、その分費用も削減できるため企業の財務面にもよい影響となるでしょう。

③繁忙期に柔軟な対応ができる 

通販物流をアウトソーシングすると、物量に差がある期間でも安定した対応が可能です。

繁忙期にアルバイトやパートを大量採用して、人員を確保する必要がなくなります。また、採用コストや教育コストの削減も同時に期待できるでしょう。なお、物量に関わらず安定した対応ができると、本来の業務に充てる時間を確保できます。

通販物流をアウトソーシングする2つのデメリット 

通販物流をアウトソーシングするデメリットは以下の2つです。

・費用がかさむ可能性もある
・トラブルが起きたときに責任の所在の問題がある

それぞれ解説します。

①費用がかさむ可能性もある

通販物流をアウトソーシングする場合、物流業者各社での金額算出方法は異なります。

多くの場合、出荷件数や商品点数に応じて梱包やピッキング、システム利用料などが月毎に別々の単位で課金される仕様です。しかし、一般的な課金方法では出荷件数に比例しない物流費が発生することがあります。

そのため、予想を上回る物流費がかかってしまうと、コストが大幅に上昇する可能性があります。通販物流をアウトソーシングする場合は、物流費の管理がコスト削減につながります。

②トラブル時が起きたときに責任の所在 の問題がある

通販物流をアウトソーシングしてトラブルが起きたときに、責任の所在がわからなくなってしまう点もデメリットの1つです。物流会社は物流アウトソーシングを請け負っている会社と契約をしていても、実際に作業をおこなうのは下請け、孫請け業者であることも少なくありません。対策としてアウトソーシングを請け負う会社には組織体制や業務フローなどの責任の所在を共有してもらい、自社でその管理をおこなっていく必要があります。

通販物流が代行会社を選ぶポイント 

現在、多くの物流会社が代行(アウトソーシング)を手がけており、どの会社に依頼すべきか悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。

通販物流が代行会社を選ぶポイントをそれぞれ解説していきます。

①立地がよいか 

物流会社を選択する際の立地のよさとは、アクセスの良さです。具体的には高速道路や空港の近くにある物流会社などがよい立地といえます。
立地が悪い物流会社はかかるコストを低く抑えられますが、入荷に時間がかかる、あるいは配送が遅れるというリスクがあります。
物流代行会社を選ぶ際は、サービス面と併せて立地の確認も大切です。

②サービス内容は自社の業務に合っているか 

物流代行会社の基本的なサービスはどの会社も違いはありません。しかし詳細なサービスの内容は異なるため、契約前に確認しましょう。具体的には以下のようなサービス内容です。

• 業務の対応時間
• ピッキングの対応範囲
• チラシの同梱
• 指定のラッピング

このような細かな作業に対応できない物流会社もあります。物流会社が対応できない場合、アウトソーシングしているにも関わらず、 自社で対応しなくてはなりません。
一部の業務を負担する必要がないように、事前に確認すると安心です。

③倉庫は受注量に対応しているか

通販物流の代行を検討する際は、倉庫選びも重要です。「自社の毎月の受注量に対応している倉庫なのか」「代行してほしい業務はどの範囲なのか」など、さまざまな観点から自社に適した倉庫を選択しましょう。また物流業務といっても、業務範囲は多岐にわたります。入庫、検品、ピッキング、梱包、流通加工、出荷、配送などから一部の業務だけを代行してもらえる倉庫や、一連の通販物流をすべて代行することが前提となっている倉庫もあります。
物流代行会社にかかるコストを検討したうえで倉庫を決めるとよいでしょう。

WMSを導入している通販物流代行もある

物流代行会社には、WMSを導入している会社もあります。WMSとは携帯端末(ハンディターミナル)のような読み取り機器を使用し、倉庫内の情報を一元管理することです。
具体的にはバーコードなどを読み取り、商品情報をデータベース化し、検品やピッキング、出庫作業などをおこないます。
そのため、作業の効率化と管理の徹底が図れます。在庫管理システムとは異なり現場の状況がリアルタイムで把握できるため、WMSを導入している物流代行会社であれば、さらに業務の効率化が目指せるでしょう。

通販物流の問題点と今後の課題

通販物流は時間や場所を問わず、いつでも商品を購入できるシステムとして、現在も人気を博しています。公益社団法人日本通信販売協会が2021年に発表したデータによると、2020年度の通販売上高は10兆6,300億円。前年の8兆8,500億円からは1兆7,800億円の増加、20.1%の成長を記録していることがわかります。

参考:公益社団法人日本通信販売協会「通販市場、20.1%増の10.6兆円市場へ」

このように拡大し続けている通販市場ですが、拡大にともない問題点も顕在化しています。

通販物流における問題点は以下のとおりです。

  • ドライバー不足
  • ラストワンマイル問題
  • 物流事業者の利益減少

通販市場が拡大するとともに、物流事業者の負担が増加しています。なかでも配送を担当するドライバー不足は深刻な問題の1つです。ドライバー不足は流通量の増加だけではなく、免許制度の改正や長時間労働なども原因といわれています。

次にラストワンマイル問題とは、商品を配送する最後の1マイル(約1.6キロメートル)の区間におけるさまざまな課題を指します。再配達の増加や送料無料による配送コスト削減などが問題視されており、ドライバー不足も原因の一つです。顧客の不在や再配達を希望する場合には、配送が完了せずに配送効率が悪化します。これらの問題に対応するためには、効率的な配送システムの改善が求められています。

最後に物流事業者の利益減少の問題です。物流事業者の業務量が増加する一方、荷物の個数あたりの利益は減少傾向にあります。通販市場が拡大するにつれて、物流事業者の利益が下がりやすくなっていくため、物流業者の撤退にもつながりかねません。
このように通販市場が拡大するとともに通販物流には深刻な問題が顕在化しています。

通販物流における今後の課題

通販物流における問題点を踏まえて、今後通販物流にはどのような課題があるのでしょうか。

問題点の1つであるラストワンマイル問題では再配達問題を解決するために、再配達を有料化する動きや置き配、宅配ロッカーなど顧客の自宅に届けずに配達を終える仕組みが整備され始めています。こうした変化に対応できる物流システムを導入し、人に依存しない物流システムの構築が求められています。

また、人員が不足している事案はフルフィルメントサービスの活用で人材不足問題や人件費、流通コストの削減などが解決策となるでしょう。
現代に合った流通システムを構築することで問題が解決する可能性は高くなります。

今後通販物流に求められているシステム

ドライバー不足の解決策として考えられているのは自動運転による配送システムの実装です。いくつかの物流企業はすでに、自動運転トラックや自動配送ロボットの開発・実証実験をおこなっています。また配送方法もトラックはもちろん、配達ドローンの実用化も期待されています。
これからの通販物流には、さまざまな業務が自動化する流通システムの導入が進んでいくでしょう。

まとめ

通販物流では迅速な出荷業務やギフトの個別対応など、付加価値のある通販物流の業務が求められています。しかし通販物流の規模が大きくなるほど、自社のみで物流体制を維持していくのは困難になるでしょう。通販市場拡大とともに業務の効率化や物流体制の維持のために、多くの企業がアウトソーシングやフルフィルメントを活用しています。
これらを活用することで人材不足問題や人件費、流通コストの削減などの問題解決につながるでしょう。

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